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トランス酸は、先般の米国の措置でも述べられているように、血中LDLコレステロールを上昇させ、HDLコレステロール(「善玉」コレステロール)を低下させるといわれています。
しかしその作用については、トランス酸の摂取量が摂取した総エネルギーに占める割合 (エネルギー比と言います。単位は%)でみて2%以下であればほとんど影響しないこと、 さらに、同時に摂取するリノール酸量がトランス酸量よりも多いとその作用が低減することが明らかにされています(注1)。
またWHO(国連世界保健機関)/FAO(国連食糧農業機関)の合同専門家協議会報告書では、 エネルギー比でトランス酸の摂取は1%未満を提唱しています(注2)。
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そこでトランス酸の国民一人一日当りの摂取量をみますと、米国では5.8g、 エネルギー比で2.6%(注3)、西欧の14カ国(男性)では1.2〜6.7g(エネルギー比で0.5〜2.1%)(注4) と見積もられています。
これに対して日本人の場合は1.56g、エネルギー比で0.7%と低く(注5)、その上リノール酸を 10.85g(トランス酸の約7倍)摂取しています(注6)。
従って、普通の食生活においてトランス酸の摂取過剰によるリスクを心配する必要は全く ないものと考えています。
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トランス酸は、液体の油を固体脂に替える際に生成しますが、自然界には乳や乳製品、反芻動物にも脂肪中に4〜5%含まれています。
マーガリンやショートニングなどの固体脂(食用加工油脂)はいろいろな加工食品に使われて、私達の食生活を豊かにするのに役立てられています。
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また、脂肪酸の摂取と冠動脈心疾患のリスクとの関連を考える時には、トランス酸と共に飽和脂肪酸に注目する必要があります(米国の措置でもこれに言及しております)。飽和脂肪酸は血中LDLコレステロール濃度を上昇させる大きな要因といわれております。
従って、私達は摂取する飽和脂肪酸の総量にも気をつけなければなりません。
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飽和脂肪酸の摂取量(一人一日当り)をみますと、
米国人では25g(注7)、エネルギー比で13%にもなっているといわれており、アメリカ心臓病協会は その食事ガイドラインで、米国人の飽和脂肪酸摂取量を全エネルギーの10%以下に制限するよう 勧告しています(注8)。
一方、日本人の飽和脂肪酸摂取量は、1995年で16.5g(注6)と推定されており、これはエネルギー 比で7.3%になります。このように、飽和脂肪酸の摂取量に関しましても憂慮することはありません。
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| (注1) |
菅野道廣著『「あぶら」は訴える・油脂栄養論』講談社サイエンティフィック52〜55頁(2000年11月刊) |
| (注2) |
WHO/FAO Technical Report Series916 : Diet,Nutrition and The Prevention of Chronic Diseases(2003年3月公表) |
| (注3) |
U.S. FDA "Questions and Answers about Trans Fat Nutritional Labeling"(July.09.2003) |
| (注4) |
R.M.Weggemans et al. "Intake of ruminant versus industrial trans fatty acids and risk of coronary heart disease - what is the evidence ?"
European Journal of Lipid Science & Technology 106(2004) 391頁 |
| (注5) |
岡本隆久、他 「国産硬化油中のトランス酸とその摂取量」 日本油化学会誌 第48巻第12号 1411〜1414頁(1999年) |
| (注6) |
辻悦子、他 「日本人の脂肪酸摂取量」 脂質栄養学 第7巻 56〜65頁(1998年)、「リノール酸摂取量の現状」同上 第11巻 25〜31頁(2002年) |
| (注7) |
U.S. FDA Report: Proposed change in USA regulation for food labeling(原案が1999年11月に、その後2001年3月に改訂された。) |
| (注8) |
The American Heart Association Dietary Guidelines for 2000: A Summary Report |