「トランス脂肪酸」について

日本マーガリン工業会

広く食品中に含有されているトランス脂肪酸(以下「トランス酸」という)の摂取については、世界各地で様々に議論されてきております。例えば、昨年(2006年)1月から米国においては、市販食品中のトランス酸含有量を表示しなければならないという規則が実施されております。

当工業会は、2005年11月からトランス酸に関する当工業会としての「見解」(本稿末尾の「参考」参照)を明らかにして参りました。この度(2007年6月)、我が国の内閣府食品安全委員会が日本人の平均的な食生活におけるトランス酸摂取量の新しい調査結果を公表されたことを受けまして(注1)、私共の「見解」を以下のように申し述べます。

  1. トランス酸は、主に液体の油を固体脂に変える際に生成しますが、自然界には乳や肉などにもその脂肪中に少量含まれております。トランス酸の過剰な摂取は、血中LDLコレステロール(悪玉)を上昇させ、またHDLコレステロール(善玉)を低下させて、虚血性心疾患発症のリスクを高めるといわれています。
    しかしその作用については、トランス酸の摂取量が摂取した総エネルギーに占める割合(「エネルギー比」といいます。単位は%)でみて2%以下であればほとんど影響しないこと、同時に摂取するリノール酸量が多いとその影響の低減が明らかにされています(注2)。そしてWHO(国連世界保健機関) / FAO(国連食料農業機関)合同専門家協議会の報告書では、トランス酸の摂取はエネルギー比で1%未満とすることを提唱しています(注3)。
  2. そこでトランス酸の国民一人一日当りの摂取量についてみますと、米国では5.8g、エネルギー比で2.6%(注4)、西欧の14ヶ国(男性)では1.2~6.7g、エネルギー比で0.5~2.1%(注5)と見積もられています。
    これに対して日本人の摂取量については、1998年での推計(注6)では1.56gで、エネルギー比でも0.7%と低く、その上リノール酸をトランス酸の約7倍も摂取していることが示されました(注7)。
    そしてこの度、内閣府食品安全委員会が発表された2006年度の調査結果(注1)では、「積み上げ方式」による推計で平均0.7g、エネルギー比約0.3%、また「生産量からの推計」(1998年推計と同じ方法)では平均1.3g、エネルギー比約0.6%と、1998年の数値と比べて減少しており、健康へのリスクはさらに軽減されてきているものと私共は考えます。
  3. しかしながら、今回の食品安全委員会ファクトシートの更新版では『…脂肪の多い菓子類や食品の食べ過ぎなど偏った食事をしている場合では平均値を大きく上回る摂取量となる可能性…』が指摘されております。
    食用加工油脂製造業界におきましては、トランス酸の過剰な摂取が健康へ悪影響を及ぼす可能性があるということを踏まえ、当工業会会員各社それぞれに、消費者・ユーザーの皆様のご要望に応えるべく、製品中のトランス酸含有量の低減に向けて従来よりいろいろと工夫(技術、製品開発等)を重ねて参りました。そして今後とも一層の努力を継続して参ります。
    皆様の日々の食事におきましては、より健康的な生活をする上で、政府の「食事バランスガイド」でも示されていますように、肉、魚、穀物、野菜、果物など、いろいろな食物をバランス良く摂っていただくことが何よりも大切です。当工業会はこれからも、食用加工油脂の脂質栄養に係る新たな知見をはじめ様々な事柄について、国内外の諸動向を引き続き注視して参ります。
    ☆ 上記(2)で述べたトランス酸摂取量の各国・地域比較
    国・地域名 トランス酸摂取量(g/人/日) エネルギー比(%)
    日本(1998年;生産量から)
    (2006年;生産量から)
    (2006年;積み上げ)
    1.56
    1.3
    0.7
    0.7
    0.6
    0.3
    米国(1994~96年;積み上げ) 5.8 2.6
    西欧(1995~96年;男性;積み上げ) 1.2~6.7 0.5~2.1
    オーストラリア(2006年;積み上げ) 1.4 0.6
    ニュージーランド(2006年;積み上げ) 1.7 0.7
    (出典)内閣府食品安全委員会のホームページ「ファクトシート」欄の「トランス脂肪酸」より

参考文献等一覧

(参考)「トランス脂肪酸」について(H17年11月)